増刊号特集 術者からみた局所解剖
Ⅰ 上部尿路・副腎系の局所解剖
総論
早川 正道
1
Masamichi Hayakawa
1
1防衛医科大学校泌尿器科
pp.18-27
発行日 1997年4月30日
Published Date 1997/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902025
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腎・副腎の位置と周囲組織1)
右腎の前方に右結腸曲と十二指腸下行部が,左腎の前方には膵尾,脾臓と左結腸曲が位置する(図1,2)。副腎は高い位置にあり,腎の上端内側斜面に接している。右側は下大静脈の右縁後方に一部がもぐり込むように位置する。また左側は横隔膜の左脚を隔てて胸大動脈の左前面に接する高さにある。腎の上縁はおよそ第11か第12胸椎の高さ,下縁は第3腰椎の高さに位置する。腎の後面上方の約1/3は横隔膜に接している。第12肋骨は斜めに下行し,ほぼ全例で腎と交叉するが,第11肋骨が腎と交叉する例は少ない。この肋骨と胸膜腔との関係を理解する必要がある。肋骨と肋間筋の内側面を被覆する胸膜が横隔膜の上面に反転する線は,胸膜腔の下縁を示し,腰部や背部からの腎到達に際して重要となる。胸膜腔の下縁はほぼ第12肋骨の起始部下縁の高さから始まり,肋骨より緩やかに下行し,第12肋骨,次いで第11肋骨(1/2から後方1/3ぐらい)と交叉する。第12肋骨の長さに個人差があり交叉しないことがあるため,肋骨切除の際には第11肋骨を正しく認識することが大切であろう。
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