小さな工夫
女性の多発性膀胱結石に対する頭側上位とした経尿道的手術
西村 泰司
1
,
伊藤 一人
2
1日本医科大学附属第一病院泌尿器科
2立川相互病院泌尿器科
pp.337
発行日 1997年4月20日
Published Date 1997/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902020
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膀胱結石は従来男性に多かったが,最近は女性の脊髄損傷などによる神経因性膀胱患者の増加につれ,女性の膀胱結石症例が増加してきていると言う1)。またそのような症例のほとんどが,結石は大きく,数も多い。筆者らも41歳,女性,脊髄損傷患者の多発性膀胱結石(図1)を経験した。たとえ結石の数が多くても,膀胱鏡と電気水圧衝撃波やレーザー砕石器,もしくは腎盂鏡と超音波砕石器の組み合わせで結石除去を試みると言うのが一般的な考えであるが,余りにも時間が掛かり過ぎる嫌いがある。筆者らは,1)手術台をやや頭側上位にすることで,膀胱三角部に結石を集め,ヤング異物鉗子による結石の捕獲を容易とし(図2),2)短径約1cmまでの結石は破砕せずそのまま取り出した。鉗子の陥凹部分をうまく利用して結石を把持すると1cmの結石を把持した場合の鉗子の最大径は約12mm(36F)となるが,女性のため術中,術後とも尿道,膀胱損傷やそれによる血尿は認めず,手術時間も1時間以内で,術後経過も良好であった。結石成分は燐酸マグネシウムアンモニウムであった。1),2)の工夫は女性の脊髄損傷患者の多発性膀胱結石に試みてよい方法と思われた。
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