小さな工夫
簡便な腹腔鏡下手術用ダイセクターの試作
萬谷 嘉明
1
,
梶川 恒雄
1
1岩手医科大学泌尿器科
pp.882-883
発行日 1996年10月20日
Published Date 1996/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901923
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【目的】腹腔鏡下手術では,通常,腹腔内に入れた半枚鉛ガーゼを鉗子で把持し出血などに対処している。しかし,出血時には面ではなく点で押さえるため,ガーゼを腹腔内で小さく丸める必要があったり,ガーゼをトロカールより出し入れする際に,トロカールの弁に引っかかり破損したり,腹腔内の炭酸ガスが漏れたりと煩雑極まりない。このような問題点を解決するため,市販の直径9.5mmのステンレス巻パイプを用いた腹腔鏡下手術用ダイセクター(便宜上命名しておく)を試作したところ,当初の予想以上に有用であったので報告する。
【方法】作製方法は簡単である。まず,市販されている直径9.5mmのステンレス巻バイプを約30cmの長さにする。購入店でパイプの切断や切断端を鈍的に処理加工してくれる。このパイプの一端より,1/6枚にしたガーゼを適当な棒で押し込み,パイプの別端よりガーゼの—部を露出させるだけである(図1)。手術ではこの器具をあらかじめ数本用意しておき,使用したものはガーゼのみを交換し再度使用する。なお,棒の代用として腹腔鏡用把持鉗子を使用すると,鉗子の先端が鋭的過ぎるためガーゼを突き破り危険である。
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