画像診断
尿閉を呈した後腹膜類表皮嚢胞
中川 龍男
1
,
会田 靖夫
1
,
藤原 正之
2
1市立岡谷病院泌尿器科
2市立岡谷病院病理科
pp.879-881
発行日 1996年10月20日
Published Date 1996/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901922
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患者 66歳女性。
主訴 尿閉。
既往歴 高血圧症。
家族歴 特記すべきことなし。
現病歴 1995年9月14日突然尿閉となり,近医を受診。導尿にて約2,000mlの尿流出を認めた。子宮筋腫を疑われ,9月18日当院婦人科を紹介されたが,MRI,CTにて後腹膜腫瘤を認めたため10月2日当科に紹介された。
現症 身長155cm,体重69 kg,血圧136/ 80mmHg。下腹部に超手拳大の腫瘤を触知し た。
入院後経過 画像診断(図1〜3)からは後腹膜腔内の嚢胞性腫瘤が確認され,1)類表皮嚢胞,2)卵巣由来の嚢胞 3)後腹膜に発生した嚢胞性中皮腫などが考えられたが,確定診断に至らなかった。11月2日エコーガイド下に膀胱経由で嚢胞を穿刺した。嚢胞内容液は灰白色で,カニ味噌状の粘稠な液体であった。粘稠なため全内容液の吸引は不可能と判断し,20mlの吸引にとどめた。内容液の細胞診はClass I,一般細菌培養,結核菌培養ともに陰性であった。
手術所見 11月30日腫瘍摘出術を施行した。仙骨前面以外は癒着がなく容易に剥離できた。癒着のため仙骨前面の嚢胞壁を一部残して腫瘍を摘出した。摘出重量は660gであった。
病理所見 嚢胞内壁は角化重層扁平上皮で覆われていた。皮膚付属器官がみられないため類表皮嚢胞と診断した。術後3か月後再発を認めていない。
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