交見室
膀胱全摘後の上部尿路再発に関して—「膀胱全摘8年後の尿管回腸導管吻合部再発」を読んで/腎腫瘍の超音波診断の有用性と限界
橋本 博
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1旭川医科大学泌尿器科
pp.808-809
発行日 1996年9月20日
Published Date 1996/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901908
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膀胱全摘後に上部尿路腫瘍の発生を見ることは稀であるとされており,筆者の施設での91年までの検討でも67例中1例に認められただけでした。ところが最近,比較的短期間のうちに2例(1例は関連病院で)を経験しました。そのこともあって本誌50巻3号,池田哲大先生の論文を興味深く読ませていただきました(臨泌50:234-236,1996)。
池田論文の症例と筆者の症例に共通している点は,いずれも膀胱全摘後長期間を経ての再発であるということです。筆者の最近の症例はそれぞれ6年と7年が経過していました。一般に膀胱全摘後に生ずる遠隔転移などは術後2年以内に集中しているため,筆者などは3年も経つとかなり安心し,5年を過ぎるころには検査もおろそかになりがちです。池田論文にも述べられているように,膀胱全摘後の上部尿路再発に関しては長期間注意が必要であることを改めて痛感しているところです。
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