増刊号特集 前立腺疾患'96
前立腺癌
治療法の選択と予後
Combination therapyのABC
野口 正典
1
,
野田 進士
1
Masanori Noguchi
1
1久留米大学医学部泌尿器科
キーワード:
前立腺癌
,
前立腺全摘除術
,
化学療法
Keyword:
前立腺癌
,
前立腺全摘除術
,
化学療法
pp.209-212
発行日 1996年3月30日
Published Date 1996/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901765
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Combination therapyが求められる背景
前立腺癌の治療は大別して根治的手術療法,放射線療法,内分泌療法,化学療法の4種類がある。その選択は臨床病期を基になされるが,一般に病期A1は経過観察,病期A2,B1,B2と病期Cの一部に根治的前立腺全摘除術あるいは放射線療法が用いられ,その他の病期C,Dの進行癌に対して内分泌療法が行われている。化学療法は,内分泌療法に抵抗性の場合や再燃した場合にのみ用いられるのが現状である。
これらの治療体系の中で問題とされている点をあげると,一つは根治的前立腺全摘除症例の半数以上の症例で術前病期が過小評価され,術後に切除断端陽性や被膜浸潤を多くの症例で認めることが指摘され,術前の補助療法すなわち「ネオアジュバント療法」や術後の補助療法をどうするのかという点である。次に,本邦では進行前立腺癌で発見される症例が多く,前立腺癌治療の主体は内分泌療法であるが,内分泌療法単独では治療限界があり,特に予後不良な病期D2前立腺癌の治療をどうするのかという問題がある。これらの症例に対して,LH-RHアゴニストによる去勢にアンチアンドロゲン剤を併用する「完全アンドロゲン遮断療法(Total Androgen Blockade:以下TABと略す)」や初回治療より内分泌療法に化学療法を併用する「内分泌化学療法」が検討されている。しかしながら,その適応や予後に与える影響については明確にされていない。
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