Coffee Break
泌尿器科—今昔
千葉 隆一
pp.162
発行日 1996年3月30日
Published Date 1996/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901750
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私が入局した1960年(昭和35年)ごろは泌尿器科単独の講座を有する大学も数えれば十指に満たない,いまだ泌尿器科学黎明期のころであった。在局生活も約10年を数え,臨床医師としての存在感を喪いかけていた折,病院赴任の話がもち上り,喜々として承知した。しかしひるがえって考えてみると,実際臨床面では一体何を主題として仕事をすればいいのかまだ発展途上国(?)の泌尿器科においては,確たる目標をもたないままの赴任と相なった。幸い在籍医局の先達,教授が外科出身でもあり,泌尿器外科,特に悪性腫瘍の根治術の確立に目標をおくこととして毎日毎日手術の積み重ねで臨床をこなしているうちに,気がつけば尿路変更術も尿管皮膚瘻術よりIleal conduitを経て,Caecal reservoirへ,慢性腎不全も透析療法より腎移植へ,前立腺癌も去勢術より経恥骨式前立腺全摘出術へと,メス,クーパーを友として進歩発展をとげていた。
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