交見室
「クラミジアの陰にエイズあり」への批判に答えて/コストを勘案した治療を
熊本 悦明
1
,
塚本 泰司
1
1札幌医学大学泌尿器科学教室
pp.978-979
発行日 1995年11月20日
Published Date 1995/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901640
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本誌49巻7月号掲載の綜説「前立腺炎」(西村泰司博士著)を興味深く読ませて戴きました。先生の御指摘のように,泌尿器科医の努力(?)にもかかわらず,慢性前立腺炎の診断・治療が一部を除けばその本体が一向に見えてこないという感じを,私たちも持っています。慢性前立腺炎の本体をさらに解明するためには,これまでとは異なったアプローチの仕方,例えばBiofilm diseaseとしての前立腺内感染の検討などが必要かもしれません。
しかし,C.trachomatis感染は抗菌薬の1週間投与で治癒するので研究の対象とする程のテーマでないと判断したという御発言にはいささか違和感を禁じざるを得ません。そのような考えを一般化すれば,抗生物質で治療可能な尿路感染症学の研究は意味ないということになる訳で,現在の感染症学を軽視する傾向を代表する御発言と受け取りました。
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