今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
3.STDの治療と注意点
クラミジア
宮内 彰人
1
1日本赤十字社医療センター産婦人科
pp.612-613
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100291
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1 診療の概要
クラミジア(Chlamydia trachomatis : CT)感染症は最近の発生動向調査によれば,最も発生頻度が高い性感染症(STD)で,若年女性に多く,さらに増加傾向にある.CTは子宮頸部円柱上皮に親和性を有し,子宮頸管炎として発症するが,妊婦の場合は妊娠子宮に感染が波及し絨毛膜羊膜炎へと進展し,それが原因で流早産が起こることもある.Algerら1)は前期破水症例についての検索により,対照と比べ有意に高率にCTが陽性であることを報告し,早産,前期破水のリスク因子としての重要性を指摘している.また,分娩時に垂直感染を起こし,新生児の結膜炎,肺炎の原因にもなることが知られている2).
2 治療方針
クラミジア頸管炎は一般には無症状のことが多いとされており,気づかずに放置されると流早産の誘因となる.したがって,妊婦においてはスクリーニング検査によりCTを検出することが重要である.CT陽性の妊婦にはマクロライド系の抗菌薬を投与する.パートナーの同時治療も必須である.耐性菌は未知であり,治療が的確に行われればほぼ100%完治する.
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