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緒言
神経因性膀胱症例,特に子宮癌や直腸癌などの骨盤腔内悪性腫瘍に対する広汎性根治手術による末梢神経損傷例の排尿状態を手術直後から観察していると,特別な治療を行なわない限り最初は尿閉,ついで排尿困難,さらに一見自排尿が可能な時期,そして尿失禁,最後に尿失禁を伴なう排尿困難または尿閉と,きわめて多彩な経過をとることに気がつく。
従来このような症例にみられた排尿障害の本質は手術時の骨盤神経損傷による膀胱の機能障害であり,尿道括約筋ないしは膀胱頸部の機能は陰部神経が健存しているので正常に維持されているものと考えられていた1)。したがつて排尿障害の形は主として排尿困難または尿閉であり,その原因は健全な尿道括約筋機能に対し膀胱壁の排尿収縮運動不全による膀胱内圧上昇の不足があるためとされていた。またそのため排尿障害の形の変遷は神経損傷の程度の差による膀胱機能の回復度合に関係があり,もし膀胱機能の回復が十分に望めないような症例では尿道括約筋機能を低下させる陰部神経遮断術が有効であると説明されていた。
Bladder neck plication with sling procedure or newly developed V-Y plasty of the bladder neck were performed for neurogenic bladder by peripheral nerve injury with urinary retention or severe dysuria (6 cases of total hysterectomy for uterine cancer and one case of extensive laminectomy for extirpation of lumbar lipoma).
These cases showed rather lowered retrograde urethral resistance (20-35cmH2O) and enough elevation of intravesical pressure (43-85cmH2O) by abdominal strain, but micturition coefficient were markedly lowered (8-47%) preoperatively.
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