手術手技 基本的な手術・11
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松浦 健
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1大阪逓信病院泌尿器科
pp.200-201
発行日 1995年3月20日
Published Date 1995/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901400
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前立腺肥大症の観血手術は,光学機器や切除鏡の改良,テレビモニターシステムの導入,熟達した術者の増加などにより,ほとんどの症例で経尿道的切除術が行われ,開放手術の頻度は低下した。恥骨後式前立腺摘除術は直視下で確実に尿道切断や止血操作が行えるため,Millinにより報告されて以来(Lancet2:693,1945)それまでの視野がやや悪い恥骨上式摘除術や手技が複雑な会陰式摘除術に代わって広く受け入れられ,わが国でも開放手術のうちでは一般的に行われている手術と推察できる。最も泌尿器科らしい手術の一つとして教育を受けた者にとって,症例数が減少したのは少し寂しく思われるが,腺腫の大きい症例,股関節拘縮例,鼠径ヘルニア合併例など適応を考える症例がなくなったわけではない。われわれは50g以上の腺腫では本術式も考慮するし,教育的観点からも,膀胱全摘術,前立腺全摘術を習得していく過程で,最も基本的な泌尿器科手術の一つとして習熟しておくべき術式である。
著者らは恥骨後式前立腺摘除術の要点を的確かつ明解に述べておられ,初心者にとって非常に参考になることは言うまでもなく,経験者にも役立つ記述が多い。
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