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セミナー 臨床医のための分子生物学—期待される臨床医学への応用・2
ヒト遺伝子の染色体マッピング
Chromosome Mapping of Human Genes
清水 信義
1
Nobuyoshi Shimizu
1
1慶應義塾大学・分子生物学
1Department of Molecular Biology, Keio University School of Medicine
pp.204-212
発行日 1995年3月20日
Published Date 1995/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901401
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はじめに
ヒトの遺伝子は約10万種類あるといわれているが,現在その約4千種類がDNA断片として単離(クローニング)され特定の染色体上にマップされている。さらに,機能は不明であるがユニークなDNA断片や短い塩基配列が3万種類ほどそれぞれの染色体を区切るマーカーとしてマップされている。一方,メンデル型の遺伝形式をとる疾病は約5千種類知られており、そのほとんどはまだ原因遺伝子が明らかにされていないものの,特定の染色体にマップされている。ヒト遺伝子の染色体マッピングは50年以上のヒト遺伝学と30年以上の体細胞遺伝学の伝統によって培われてきたが,近年の分子遺伝学の進歩とヒトゲノム解析計画の台頭によって加速度的に進展している。
ヒト遺伝子の染色体マッピングには表1に示すようなさまざまな手法が応用されてきた。これらの手法の詳細に関しては成書1〜4)に譲るが、基本的には遺伝学的なリンケージマッピング(連鎖地図の作成)と分子生物学的なフィジカルマッピング(物理地図の作成)に分類される(図1)。
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