手術手技 基本的な手術・10
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近藤 厚生
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1名古屋大学病院泌尿器科
pp.115-116
発行日 1995年2月20日
Published Date 1995/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901381
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103名を治療した臨床経験に基づくこのレポートは貴重であり,注意深く拝読した。従来よりステーミー氏手術に関しては多くの変法が報告されており,この術式が人口に膾炙したものであることを示唆する。ステーミー氏手術は骨盤内筋膜を膀胱頸部の両側で挙上し,腹圧負荷時に膀胱から尿道周囲への圧伝導率を高めて尿禁制を保持することを目的とする。
ステーミー氏手術における術式のポイントは,3つに要約できる。1つは膀胱頸部を的確に挙上することである。多くはないが時々ナイロン糸が尿道中央を挙上するために,術後の排尿障害または尿閉が継続することがある。水尾らの方法がこの点を適切に解決するものであれば素晴らしい。第2点は膀胱頸部を挙上する程度である。強すぎれば尿閉またはチーズワイヤー効果のため骨盤内筋膜が断裂して手術は失敗する。弱すぎれば手術の効果は得られない。現在われわれが利用し得る手技としては,多くの手術経験,内視鏡での所見,バネ秤でナイロン糸の張力定量化,ナイロン糸のループ長の定量化,水尾らが報告した超音波で膀胱頸部の角度を調節する方法などである。
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