交見室
最近の臨泌を読んで/泌尿器科癌臨床試験ガイドラインについて
田島 惇
1
1東京大学医学部泌尿器科
pp.984-985
発行日 1994年11月20日
Published Date 1994/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901342
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最近の臨泌を楽しく読ませていただいています。特に5月号からはじまった副腎手術,腎癌に対する経腹的腎摘出術,腎部分切除術,腎盂形成術と続く各臓器の手術手技を興味深く拝見しました。それぞれの筆者の先生方,コメントを書かれている先生方の経験を踏まえた内容は,大いに参考になります。手術書にみられないコツのようなものもあります。7月号の秋山先生の示唆にとんだ腎部分切除の手術手技を読みながら,新人時代,鈎を引いた小川先生(本誌編集委員)の腎部分切除の手際の良い手術を走馬燈のように思い起こしたりしました。この様な企画は,われわれの日常の臨床に直結し,有益と思います。
ここで,副腎手術((5月号),腎癌に対する経腹的腎摘出術(6月号)について,屋上屋を架すの様なものかもしれませんが,小生の雑感を加えてみたいと思います。村井先生も述べられているように第12あるいは11肋骨切除の背面からの到達は(小生20数例術者として経験していますが),腰部斜切開や経腹的到達に比べて,確かに患者さんの術後の疼痛も少なく,回復も早いと思います。鈎を引っ張る助手は少々たいへんですが,術者の直下に副腎を露出させることができます。特に右副腎腫瘍で下大静脈から分岐する副腎静脈が短い場合,安全に直視下に処理することが可能です。
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