小さな工夫
直視下閉鎖神経ブロックを併用した骨盤内リンパ節郭清
村木 淳郎
1
,
中薗 昌明
1
1栃木県立がんセンター泌尿器科
pp.529
発行日 1994年6月20日
Published Date 1994/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901245
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膀胱全摘除術や前立腺全摘除術における骨盤内リンパ節郭清でキーポイントとなるのが,閉鎖節の郭清である。閉鎖節は通常,脂肪織内に存在するため,郭清に際し小血管からの出血でも止血に手間取ることが稀でない。閉鎖節は膀胱癌や前立腺癌の最も転移をきたしやすいリンパ節の一つであり出血を恐れて郭清がおろそかになってはならない,と考えている。組織の切離,止血には電気メスがよく用いられるが,閉鎖節領域に使用すると閉鎖神経刺激による内転筋群の収縮が起こり,手術が困難となるのが他の部位の郭清と大きく異なる点である。一方,泌尿器科領域では経尿道的膀胱腫瘍切除術の際に経皮的閉鎖神経ブロックは.しばしば使用される手技であるが,局所麻酔薬を10〜15ccと比較的大量に必要とし,さらに血管内注入などの危険も存在する1)。筆者らは,骨盤内リンパ節郭清の際,直視下に閉鎖管内に 1ccの1%Carbocaine(Mepivacaine)を注入し,神経ブロックを施行している(26G針を使用し,吸引により針先が血管内でないことを確認後)。この方法の利点は,閉鎖節郭清の際,電気メスを使用しても筋収縮が起こらず,安全に郭清操作ができ,小血管よりの出血のコントロールに優れていることである。また,局所麻酔剤の使用最も少量であり,血管内注入による合併症発生の危険もない。
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