小さな工夫
逆行性根治的前立腺全摘除術における膀胱前立腺切離法
頴川 晋
1
,
内田 豊昭
1
1北里大学泌尿器科
pp.528
発行日 1994年6月20日
Published Date 1994/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901244
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逆行性根治的前立腺全摘除術での前立腺膀胱切離時に,筆者らは精嚢,精管膨大部と膀胱頸部との間に通した鉗子で膀胱頸部を挙上し,一気に切離する方法を用いているので紹介したい。
前立腺を逆行性に直腸面より起こし,Denonvillier筋膜を横切開した後,精嚢,精管膨大部を露出する。両側精嚢の外側面が一部露出されるまで側茎を処理した後,精嚢,膀胱,前立腺の間に挟まれた結合織層を,強弯ケリーなどの鉗子を用いて対側に向かって穿通する(図1a,b)。この際,大きな抵抗はなく容易に鉗子を通すことができる。テープを把持し鉗子を固定した後,膀胱を切開する。尿管口を確認した後,鉗子で膀胱頸部を挙上しながら同部の切開を行い,前立腺と膀胱を切離する(図2)。このようにすると,精嚢,精管膨大部を傷つける心配がないので,安全,容易かつ迅速に切離を行うことができる。
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