増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
尿路結石
シスチン結石
戸塚 一彦
1
1自治医大大宮医療センター
pp.202-203
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900909
- 有料閲覧
- 文献概要
シスチン尿症治療の現況
シスチン尿症の治療はシスチン結石の再発予防と溶解からなる。シスチン結石の再発予防と溶解は,多量の水分摂取で尿量を増やして,尿中シスチン濃度を低下させることが基本になる。シスチンの前駆物質であるメチオニンは動物性蛋白質に多く含まれるので,動物性蛋白質の過剰な摂取は避けるべきである1)。同時に,野菜や果物などアルカリ性食品の摂取は積極的に勧めるべきである。しかし,適切な食事療法にてもシスチン結石の再発を来す症例,シスチン結石の溶解を試みる症例では以下の薬物による治療が必要である。
重曹とクエン酸塩は尿のアルカリ化によってシスチンの溶解度を高める。D—ペニシラミンとチオプロニンは体内でシスチンと結合して易溶性の複合体を形成し,シスチン排泄量を減少させる。また,アスコルビン酸は還元作用により尿中のシスチンを易溶性のシステインに変え,シスチン尿を多少軽減させる2)。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.