Japanese
English
綜説
シスチン尿症
Cystinuria
西村 隆一
1
Ryuichi Nishimura
1
1横浜市立大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology,School of Medicine Yokohama City University
pp.1045-1055
発行日 1977年12月20日
Published Date 1977/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202458
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はじめに
シスチン尿症は尿路結石を唯一の臨床症状とする疾患にもかかわらず,シスチン結石は尿路結石症の僅か1〜2%と稀であるためあまり注目されなかつた。また,シスチン尿症であることが発見されたとしても従来は有効な治療法がなかつたことも,シスチン尿症と泌尿器科医の関係を疎遠なものにした一因であつた。ところが,Crawhallら(1963,1964)1,2)により D-penicillamineが尿中シスチン濃度を低下させ,シスチン結石の発生防止に有効なことが発見され,さらに,McDonaldand Henneman (1965)3),Crawhallら(1967)4)はD-penicillamine内服でシスチン結石が溶解消失する事実を報告した。いまひとつの大きな進歩は,King(1968)5)によつてα-mercaptopropionyl-glycine(MPG)がD-penicillamineより副作用が少なく,かつ,シスチン尿症における尿中シスチン濃度低下作用がD-penicillamineと同等に有効であることが報告された。すなわち,今日われわれはシスチン結石の再発防止を,さらに結石溶解も可能な有効な治療法を持つたのである。それ故,尿路結石患者の中より,シスチン尿症に原因する症例の発見に努力が払われねばならない。
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