特集 病院医療—21世紀への遺産
—写真と解説— 病院建築〜20世紀から21世紀へ
河口 豊
1
1広島国際大学医療福祉学部医療経営学科
pp.1003-1015
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903140
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廃墟の中から再出発
第2次世界大戦により多くの医療従事者を失い,医療施設が荒廃した敗戦直後に,日本を統治した連合軍は社会制度の近代化を進めた.「『我が国の病院の運営・管理は前近代的である』と指摘され,初めて近代病院管理に目覚め,進歩したアメリカ合衆国の病院管理の知識が導入せられるようになった.」と故吉田幸雄元病院管理研究所長は述べている1).さらに「一方,病院建築については,昭和26年頃より東京大学工学部吉武研究室を中心に研究が始まり,病院建築計画のみならず地域計画にその研究を進めて多くの業績を残すようになった.また一方,日本病院建築協会(昭29,1954),日本病院設備協会(昭28,1953)が設立され,病院管理の研究者とそれぞれの専門家の協同研究が始まったことは,さらにこの方面の進歩をうながした.」と,新しい病院管理の考え方(Dr.MacEchern)に導かれて,戦後の病院建築,病院設備が発展の緒に就いたことを振り返っている.
同じく当時吉田らと病院管理を研究していた故守屋博(当時,国立東京第一病院管理部長,病院管理研修所主事)は「新しい病院を考えろといわれたわれわれのグループと新しい病院建築を考えようという建築家のグループが一緒になって,2階建木造のモデル設計をつくったわけです.
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