文献抄録
表在性膀胱癌の経過における血液型の影響
pp.143
発行日 1988年2月20日
Published Date 1988/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204675
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尿路腫瘍細胞表面におけるABO(H)血液型の抗原欠除と腫瘍の発育浸潤発生との間に有意の相関があるとの報告があり,殊に最近の研究では,抗原の欠除はO型に多く見られ,O型では表在性癌が浸潤性に進行する危険率の高いことが指摘されている。そこで著者らは494名の膀胱癌患者について,初診時の癌のstage,gradeと患者の血液型ならびに臨床経過を観察した結果について報告している。検討症例は1977年から1986年の間に病院を訪れた膀胱移行上皮癌494例で,そのstage,gradeと血液型が正確に診断され,かつ経過観察も十分なされた患者である。男性375名,女性119名で,観察期間は2年から9年で平均5.5年である。表在性癌はstage 0とAとし,stage Bは浸潤癌とし,またgrade Ⅰ,Ⅱをlow grade,Ⅲ,Ⅳはhigh gradeとした。
検索結果についてみると,患者の血液型(A,B,AB,O)の分散は一般の対象者あるいは尿路結石者100名の血液型分散とほぼ同様であった。
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