交見室
腎細胞癌の腎組織保存手術—最近の論文を読んで,他
中薗 昌明
1
1栃木県立がんセンター
pp.988-990
発行日 1992年11月20日
Published Date 1992/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900748
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腎細胞癌の手術治療は1963年にRobsonが発表した手術手技が今日でも標準的なものとなっている.しかし,最近,単腎症例,腎不全症例や両側同時発症例などの必然的に腎組織をできるだけ多く保存するよう努力しなければならない症例に限らず,対側腎が健全な症例でも腎組織を保存しようとする考えが台頭し,腫瘍核出術や腎部分切除術が症例を選んで行われている.従来の腎細胞癌であれば,腎全摘出術をすべての症例に適応させるのに疑問を持つ施設では,画像診断で偶然発見された無症候性の腫瘍に対しては,小さい腫瘍に限らず,比較的大きいものであっても腎盂,腎杯など尿路構築に浸潤が及んでいない辺縁部のものにもその適応を広げている.また偶発腫瘍の中には良性腫瘍が含まれる確立が高いことも判明してきた.腎血管筋脂肪腫はCTにより高い正診率がえられているが,それでも診断しえない症例があり,必しも満足すべきものではない.オンコサイトーマや腺腫との鑑別は現在の画像診断技術では困難である.オンコサイトーマのMRIによる鑑別診断について少数の論文もみられるが,現時点では否定的見解が強い.
本邦においては増田ら1)が少数例ではあるがこの問題に検討を加えている.
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