小さな工夫
陰嚢内容物に対する超音波走査法の一工夫
頴川 晋
1
,
石橋 晃
1
1北里大学病院泌尿器科
pp.791
発行日 1992年9月20日
Published Date 1992/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900683
- 有料閲覧
- 文献概要
超音波法により陰嚢内容を描出する場合,被験者を仰臥位とし陰嚢皮膚と探触子間に水嚢や樹脂マットを介在させて走査する方法が一般的に用いられている.この方法では陰嚢内容の概要をとらえることが比較的容易である反面,ごく小さな硬結などの場合超音波ビームを的確にフォーカスしにくく,触知可能な病変であっても描出できず,とまどう症例に時折遭遇する.このため,筆者らは陰嚢内容物の超音波検査時には被験者を立位として陰嚢を下垂させ,健側の皮膚と睾丸を介して対側の病変部を触診しながら描出する方法をルーチンに用いている(図1,2).この方法では超音波画像上での手指の動きにより病変部位を触知しながら同定,確認することができるので病巣の描出が極めて容易である.ことに小さな実質性病変と良性の嚢胞性変化などとの鑑別,また精索静脈瘤の存在や程度の診断などにおいて本法は有用である.
泌尿器科医として超音波法の習熟は重要であるが,触診法との併用によりなお一層の診断効果が得られるものと思われる.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.