Japanese
English
特集 前立腺肥大症の薬物療法
Ⅱ.Α-ブロッカー
α-blocker agents in BPH
河邉 香月
1
Kazuki Kawabe
1
1浜松医科大学泌尿器科学教室
1Department of Urology, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
前立腺肥大症
,
α—ブロッカー
,
α—レセプター
Keyword:
前立腺肥大症
,
α—ブロッカー
,
α—レセプター
pp.295-301
発行日 1992年4月20日
Published Date 1992/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900568
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はじめに
前立腺肥大症(以下,BPHと略す)の治療法としては,手術的方法と薬物療法があるが,薬物療法の中では,特に近年前立腺の排尿に及ぼす役割が明らかになるにしたがって,α-ブロッカーが注目を集めてきた.事実,内外の臨床的報告はα-ブロッカーがBPHの排尿障害に対しきわめて有効であり,手術の適応でない患者や手術を好まない患者に対し優れているばかりでなく,場合によっては手術をしないですむようになることを示している.なぜなら,BPHの多くは常に大きくなり続ける疾患ではなく,いずれは肥大が止まるので,一時的に症状を抑えておけば以後は良好な排尿ができるようになり,永久に薬を飲まねばならないものでもないからである.
これに対して手術がいいか薬がいいかという論議をしようとする人もあり,結論は手術の方が根治性,経済性の面で優れていることになっている.しかし,この論議は結局のところやや的はずれである.α-ブロッカーはBPHの臨床症状の対応するための手段であり,またα-プロッカーにより前立腺の薬理学的特徴や排尿に対する役割などが明らかにされてきたことを評価すべきで,単純に治療法としての優劣を比較は出来ない性質のものであると思われる.
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