検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
尿円柱とその成因
今井 宣子
1
1大阪大学病院中央臨床検査部
pp.707-711
発行日 1983年8月1日
Published Date 1983/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202823
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尿円柱とは平行する二辺を有する細長い円柱状を呈する尿中有機成分(本体は凝固した蛋白体)のことである.その形状から円柱(cylinder)と称されるが,また腎尿細管腔を鋳型として形成されることからcast(鋳型)とも称される.したがって円柱の大きさ・形状はその円柱が形成された尿細管腔のそれを意味し,円柱の成分はその円柱が形成された尿細管腔の内容と状態を示す.また尿中に円柱をみることは,尿細管腔に一時的閉塞があったことおよび尿流が再開したことの2点を示す.
このように円柱は腎実質のみに由来し,その部位の変化を特異的に反映するため,円柱の与える情報は臨床的に極めて重要である.
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