交見室
ランダマイズド・スタディに対する疑問,他
藤田 公生
1
1国立病院医療センター
pp.176-178
発行日 1991年2月20日
Published Date 1991/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900268
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本誌44巻9号の交見室の村上先生のお返事を拝見しました.7月号で垣添先生が,よく計画され注意深く吟味された前向き実験であると述べておられますが,その内容に関して私が感じた疑問点は4月号の交見室に載っています.
垣添先生は気付かれなかったようですが,お返事を読んでみると最終段階で94例を後向きに選択しています.これが論文のなかでは退院時に94例を選択し,その後で入院中のカテーテル拡去時にタイムバックして無作為に2群に割り付け,他方では退院時に選択した94例の全例について経過を追求し得たということになっています.垣添先生も94例を2群に割付けたと読んでいるようですが,乱数表を直接使ったにしても籤をひいたとしても,そこから記載が始まらなかったというのは不自然に思われます.そして仮に162例を無作為割付したとしても,除外,脱落を繰り返した上で94例(約60%)の少数症例を両群同数になるように選んでいるので,pro-spective randomized studyとはいい難い状態になっています.
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