現代のカルテ
ドゴールがみちびいたフランスの栄光,他
pp.40
発行日 1963年3月1日
Published Date 1963/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202507
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ヨーロッパでの政治の焦点は,EEC(ヨーロッパ経済協同市場)をめぐる,フランスと英国との動きであろう.
12月5日にアチソン米元国務長官は,米陸軍士官学校で,「大英帝国の面影は消えた.経済的にも軍事的にも,英国は指導国としての地位を失った」と述べた,EEC加盟が,フランスの強い反対にあって挫折し,ミサイル開発の計画ではアメリカの援助が得られず,マクミランの苦悩は濃い.それにひかえ,かつては「ヨーロッパの病人」といわれたフランスが,ドゴール大統領統率のもとに,欧州を米ソ双方に組しない第3勢力の方向にもっていこうとする指導国として台頭してきている.アメリカがキューバ問題をかかえ,中ソがイデオロギー問題で対立する等,悩みが尽きないのにひかえ,フランスは"ガン"といわれたアルジェリア紛争を終結させて,著しい経済発展を成し遂げた.昨年11月の国民議会総選挙での,戦後はじめてのドゴール派過半数議席獲得が,この繁栄をもたらしたといえよう.
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