特集 これだけは知っておきたい! 泌尿器科診療でも活きる腎臓内科の必須知識
企画にあたって
これだけは知っておきたい! 泌尿器科診療でも活きる腎臓内科の必須知識
岡田 浩一
1
1埼玉医科大学腎臓内科
pp.957
発行日 2022年12月20日
Published Date 2022/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207701
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慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全および心血管病のリスク病態であり,腎癌とCKDはリスク因子の一部(年齢,喫煙,メタボリックシンドローム・糖尿病など)が共通することから,腎癌患者の26%を占めるCKD合併患者の診療に際して,CKDの増悪を極力回避する配慮が重要となる.まず術前では造影剤腎症の予防のため,放射線科および腎臓内科と連携して診断の質を落とさない範囲で造影剤量の最小化および造影剤腎症の予防策をとるべきである.また術後では,腎摘出後のAKIは,CKDでは適応反応が機能せずに遷延〜増悪するリスクが高く,残存腎機能を温存するための部分腎摘出術の適応や維持透析の準備の必要性について,術前から腎臓内科との連携が重要となる.術前に明らかなCKDを伴わない場合でも,高齢,糖尿病と術後AKIは腎摘出後に残存腎がCKDへと進展するリスク因子であり,AKI合併時には早めに腎臓内科との連携を図るべきである.
AKIからCKDへの進展については,低下した腎機能の経時的変化や尿中の尿細管障害マーカー値の推移が診断の参考になり,その際には腎臓内科的な管理が必要となる.進行性腎癌の場合には薬物療法の適応となり,mTOR阻害薬やマルチキナーゼ阻害薬が使用され,後者ではVEGFR阻害作用を介した高血圧や蛋白尿,糸球体障害を合併する頻度が高い.この際,CKD合併腎癌患者ではCKDの増悪を回避するために,タイムリーな休薬が必要となる.さらに近年,汎用されている免疫チェックポイント阻害薬は腎臓を含むさまざまな臓器への自己免疫疾患を誘発するため,それぞれの専門医との連携が重要となる.
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