特集 複合免疫療法とは何か? 腎細胞癌の最新治療から学ぶ
企画にあたって
北野 滋久
1
1がん研究会有明病院先端医療開発センターがん免疫治療開発部
pp.91
発行日 2021年2月20日
Published Date 2021/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207112
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歴史的背景として,腎細胞癌においてはがん免疫療法の先駆けとしてIL-2療法やインターフェロンα(IFNα)療法が開発されてきた経緯があり,泌尿器腫瘍領域の諸先生方はがん免疫療法の臨床開発に大きな貢献をされてきました.近年はこの開発が飛躍的に進み,泌尿器腫瘍においても腎細胞癌と尿路上皮癌に対して,免疫チェックポイント阻害薬が標準治療として実地臨床で用いられるようになり,さらには,進行腎細胞癌の初回治療において複合免疫療法の臨床開発が順次成功し,現在は複数の治療が選択できるまでになりました.進行期の腎細胞癌に対する複合免疫療法として最初の承認を得た抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体の併用療法に関しては,長期フォローアップデータも報告され,3人に1人程度の患者さんが長期生存を得られる可能性が示されており,今後ますますの治療成績の向上が期待されています
泌尿器科領域の臨床医学の発展は著しく,先生方が習得すべき領域はますます多岐に渡り,各種良性疾患に加えて,悪性腫瘍においても腎細胞癌,尿路上皮癌,前立腺癌,精巣腫瘍など多数の臓器に対する外科的治療,薬物療法はじめ幅広い専門知識が求められ,頻繁に知識のアップデートを行っていただく必要があるかと存じます.
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