Feature Topic がん免疫療法時代の航海図
—序説—本特集の企画にあたって
北野 滋久
1
1国立がん研究センター中央病院先端医療科
pp.467
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1430200114
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「24」
2011年3月25日、切除不能悪性黒色腫に対する免疫チェックポイント阻害薬として初めて抗CTLA-4抗体(イピリムマブ)が米国FDAの承認を得ました。その当時、私はニューヨークのMemorial Sloan-Kettering Cancer Centerに留学しておりました。所属部署のトップであったJames Allison先生が1990年代にCTLA-4分子の機能解明から動物モデルでの抗CTLA-4抗体の抗腫瘍効果を報告し、直属の上司のJedd Wolchok先生が2000年代に同剤の臨床試験に携わり、FDA承認に貢献しました。基礎研究面、臨床開発面における立役者である彼らの功績を讃えて、病院、研究所の仲間でお祝いをした時のケーキの上には「24」という数字のデコレーションがのっていました。
1987年にCTLA-4の遺伝子がクローニングされ、未解明であったCTLA-4分子の機能解明を始めとして基礎研究の知見が積み重なり、抗CTLA-4抗体の臨床開発が成功し、2011年に医療として実用化されるまでに「24」年(四半世紀近く!)もの長い年月を要したのです。
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