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人生100年時代になって,われわれは目をいかに健康に保ち,より快適な生活を送ることができるかが大切になってきます。加齢に伴う目の機能低下を「アイフレイル」といい,このフレーズは,ACジャパン2024年度支援キャンペーンに「アイフレイル啓発」が選ばれたこともあり,社会に少しずつ浸透してきたように思います。アイフレイルの最初のイベントが「老視」ではないでしょうか。これまでは「たかが老視」と思われてきた感がありましたが,老視を「何とかしてほしい」という国民の声は非常に高まっていると思います。老視についてきっちりと学び,国民に正しい老視への対応を伝えることはわれわれ眼科医の責務であると考えます。
老視や目のアンチエイジングの研究は,今,とても熱いです。『臨床眼科』の2025年最初の月を飾る本特集では,水晶体研究や老視研究,眼の抗加齢研究のエキスパートの先生方に執筆をお願いし,基礎から臨床まで幅広く網羅された贅沢な内容となりました。トップバッターとして,大阪大学の不二門尚先生には老視のメカニズムについて解説をいただき,次に日本老視学会の理事長である根岸一乃先生(慶應大)に,やや負のイメージがある「老視」という病名に対する日本老視学会の「老視の呼称に関するワーキンググループ」での検討結果についてご紹介いただきました。水晶体の基礎研究については中澤洋介先生(慶應大薬学部)に,水晶体疾患の疫学研究については久保江理先生(金沢医大)に,それぞれ最新の話題についてご執筆いただきました。各種の老視矯正に関しては,大口泰治先生(大口眼科)には眼鏡,平岡孝浩先生(筑波大)にはコンタクトレンズ,荒井宏幸先生(みなとみらいアイクリニック)には手術を用いた方法についてそれぞれ詳しく解説いただきました。また,抗加齢学(アンチエイジング)の観点からは,長井紀章先生(近畿大薬学部)には老視に対して,有田玲子先生(伊藤医院)にはオキュラーサーフェス疾患に対して,檜森紀子先生・中澤 徹先生(東北大)には緑内障に対して,小沢洋子先生(藤田医科大学東京)には網膜疾患に対してご執筆をお願いし,それぞれの予防治療やサプリメントについてご紹介いただきました。
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