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プレゼンテーションデザインとは?
◯伝わるプレゼンテーションはシンプルなストーリー構成から始まる
大ヒットの映画,毎週見たいテレビドラマ,そしてベストセラーになる書籍には視聴者(聞き手)が興味を引く物語がある.このような物語は適当に作られることはない.そう! 必ず物語を作る構成法があるのだ.日本人なら多くの方が知っている「起承転結」は最も基本的な文章の構成法と言われている.「起」で文書を書き起こして読者を話に引き込み,「承」で主題を展開し,「転」で視点を変えて興味を引き,最後に「結」で全体をまとめる.しかし,この「起承転結」は必ずしも物語の構成としては評価されておらず,映画や脚本での多くの構成法が「三幕構成」に基づいていることはあまり知られていない.日本の伝統芸能である「能」や「歌舞伎」で用いられる脚本構成もこの「三幕構成」に基づいた「序・破・急」という3つの構成で作られている.「序」で物語を徐々に展開し,「破」で物語を急展開させ重要な部分を表現し,そして「急」でクライマックスに向かって急激に盛り上がり,締めの部分は簡潔にすみやかにクロージングするイメージだ.わかりやすく言うと「序」で状況説明をし,「破」で事件が起こり盛り上がり,そして「急」で事件を解決するっといった感じだ.
プレゼンテーションを行ううえで大切なことは,ただ単に開始から最後までを淡々と用意した文章を読み上げることではなく,プレゼンターは語る物語に強弱をつけ,聞き手がイメージしやすいように表現し演じなければならない.なぜなら,連載第1回でお話ししたようにプレゼンテーションは聞き手への贈り物でなければならないからだ.本稿では,あなたのプレゼンテーションを作り上げるためのストーリー構成,すなわちプレゼンテーションデザインについて紹介し解説したいと思う.
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