特集 腎移植臨床の進歩―集学的治療における泌尿器科医の役割を再考する
企画にあたって
齋藤 和英
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1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎泌尿器病態学分野
pp.689
発行日 2019年9月20日
Published Date 2019/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206706
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腎移植は最も生理的・理想的な腎代替療法として認知されており,その成績は免疫抑制療法や日和見感染症に対する診断・治療の進歩によって飛躍的に向上している.そのため,患者家族にとって腎移植の成功と長期の生存・生着への期待はきわめて高い.しかし一方で,抗ドナー抗体による抗体関連型拒絶反応,移植直後のaHUS・TMA,BKV腎症など,患者の生命予後や移植腎喪失にもつながる,克服しなければならない問題点はまだまだ多い.また,長期生存・長期生着が可能になったからこそ問題になる悪性腫瘍や心血管合併症の発生など,取り組むべき問題はむしろ広がりをみせている.
腎移植は集学的治療であり,高血圧・脂質代謝・動脈硬化・CKD-MBDなどの内科的合併症の診断・治療,栄養管理,運動療法,社会復帰や精神医学的側面など,多岐にわたる専門領域をもつ医師・メディカルプロフェッショナルとの連携も欠かせない.
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