特集 男性の百寿社会のために テストステロンの徹底理解!
企画にあたって
辻村 晃
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科
pp.5
発行日 2019年1月20日
Published Date 2019/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206457
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高齢社会を迎えた日本においては,中高年以降の男性に生じるさまざまな障害が重要視されるようになった.いわゆる更年期障害は女性特有の疾患であるかのように理解されてきたが,実際には同様の症状が男性にも存在する.すなわち,女性の更年期障害でよく認められる「なんとなく体がだるい」「落ち込みやすい」「集中力がなくなった」「いらいらする」「体温調節がうまくできない」など,自律神経失調症的な不定愁訴は実は男性にも起こりうるわけである.疾患概念の目新しさからマスメディアが取り上げることも多く,「男性更年期障害」という名称は比較的短期間のうちに一般社会に浸透した.現在では,加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)という医学名称で統一され,すでに診療の手引きも発刊されている.LOH症候群に対する治療は,一般にアンチエイジングにつながるものと理解されている.人は誰でも老いる.したがって,日常生活に影響しない程度の老化現象は,あえて問題にする必要はないかもしれない.問題は,健康寿命を脅かすLOH症候群に関連するさまざまな病態が,低テストステロン血症により引き起こされる可能性があることである.
本特集では,LOH症候群に対する診療の現状を明確にするとともに,テストステロンにまつわる症状や疾患について,解説いただいた.今後の診療の参考になれば幸いである.
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