Japanese
English
特集 知っておきたい腎移植の最新情報—基礎から臨床まで
Ⅲ.先行的腎移植
先行的腎移植の意義と問題点
Preemptive kidney transplantation:the significance and point to be noted
森田 研
1
Ken Morita
1
1北海道大学病院泌尿器科
キーワード:
先行的腎移植
,
透析療法
,
慢性腎臓病
Keyword:
先行的腎移植
,
透析療法
,
慢性腎臓病
pp.1118-1123
発行日 2015年12月20日
Published Date 2015/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205506
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨 腎代替療法選択の段階で,透析を経ずに腎移植を行う「先行的腎移植」の移植後成績が生着率,生存率とも良好で,合併症が少ないということは1990年代から示されており,その原因として,透析中に進行する心血管系合併症が移植後に影響を及ぼすと考えられている。移植前に透析をしていた期間が短いほど移植後の生存率が改善する。わが国では何十年という超長期透析後の患者も移植されており,そのような場合は動脈硬化が問題になる。移植後の生存率,生着率を改善するために,先行的腎移植が可能な症例では積極的に行うべきである。一方,適正な移植時期を術前に判定することが必要であり,移植後の自己管理面の問題点を透析管理で推察できないという問題点もある。尿毒症管理が不十分な場合は透析後移植が望ましい場合もあり,透析しないことにこだわりすぎると移植周術期の安全性に影響するため注意が必要で,何よりも安全に移植を行うことを第一の前提とすることが重要である。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.