今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
column 臓器抽出のコツ
副腎
宮本 幸夫
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.297
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101015
- 有料閲覧
- 文献概要
右副腎は,右季肋部肋骨弓下走査にて,右腎の内頭側,肝右葉の背側,下大静脈の外背側に描出される.消化管ガスが多いときは,左側臥位にて,深吸気下に走査することで描出が容易となることが多い.副腎は低エコーの“人字”あるいはλ状構造体として描出される.右副腎の外側は肝内に食い込んでいるため,描出が困難となることがある.一方,左副腎は傍腹部大動脈域で,かつ左腎上極の腹側内方に位置するため,経腹壁走査では,消化管ガスにより描出しえないことが多い.呼気時での走査が有効となることもある.左背部から左腎を通して腹部大動脈を捉え,その後探触子を傾けて腹部大動脈の外側に捉えることで,左腎上極のレベルに左副腎を捉えられることが多い.同法では正常の左副腎を捉えることはあまりないが,副腎の腫瘤性病変の描出には有効となることが少なくない.なお,いわゆる飲水法は膵体尾部の描出に有効な手段であるが,同法が左副腎の描出に有効となることは,筆者の経験上あまりない.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.