交見室
抗A抗体の出現したシクロスポリン投与生体腎移植/無症候性顕微鏡的血尿232例の臨床的検討
東間 紘
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1東京女子医大泌尿器科
pp.358-359
発行日 1987年4月20日
Published Date 1987/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204478
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本誌41巻1号,高橋論文を興味深く拝見させていただきました。
すでに広く知られていますように,ノルウェーの土壌から見つかつた新しい免疫抑制剤シクロスポリン(CYA)の登場は,腎移植成績を一変させてしまいました。私たちの施設では昨年末までに500例を越す腎移植を行いましたが,そのうち300例以上がCYA使用によるもので,それ以前のアザチオブリン(AZ)主体の免疫抑制法によるものは200例足らずとなつています。移植腎生着率はAZ時代に比べ飛躍的に向上し,血縁者間移植で95%以上(1年生着率),死体腎移植でも85%以上となり,組織適合性などのbarrierを越えて生着させることが可能となつています。ベルギーのAlexandreたちはまつたく血液型の異なるドナー・レシピエント間(A→O,A→B,B→Oなど)の移植に挑戦し,2年生着率83%と驚異的な成績をあげている程です。こうした成績の向上は,CYAの優れた免疫抑制作用によることはいうまでもありません。CYAは免疫反応の要であるTcellに選択的に作用し,とくにhelperT cei1からのIL−2産生を抑制することにより免疫抑制作用を発揮しますが,もう一つの重要な特徴は,その作用がcytotoxicでないことであります。
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