Urological Letter・418
腎手術後の二次的大出血の治療法
pp.834
発行日 1986年10月20日
Published Date 1986/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204358
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単腎者の腎手術後の二次的大量出血の治療には特別な困難さがある。筆者らは1984年以来そのような4例に二重管による灌注(Double-Tube Irrigation)によつて止血に成功している。
それらのうちの1例は,先天性単腎者で高位尿管と腎盂尿管移行部狭窄があり,高度の水腎症を伴つた患者だつた。腎盂尿管狭窄の形成術のあと第4日目に二次的大出血が起こり,出血性ショックに陥つた。腎盂内に凝血塊がつまり尿の排出も阻害されたので,患者の一般状態は非常に危険だつた。患者は元来単腎者だつたからもちろん腎摘はできない。凝血塊を除去し尿の流出をよくするために再び創を開かないわけにはいかなかつた。約100mlの血塊を腎盂から除去し,20Fr.シリコンラバーチューブを2本腎盂内に入れた。1本は抗生物質の入つた液を持続的に注入するために,もう1本はドレナージ用である。出血は24時間の治療後に完全に止まり,一般状態も速やかに改善したし,腎機能もまたよくなつた。
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