交見室
痛風に合併した二次的蓚酸腎について
高崎 悦司
1
1独協医大泌尿器科
pp.290-291
発行日 1978年3月20日
Published Date 1978/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202526
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本誌31巻12号(1977)に掲載された鈴木良二氏らの「痛風に合併した二次的蓚酸腎」を大変興味深く拝見致しました。編集氏のお求めもありましたので若干の感想を述べさせていただきますと,著者らが指摘されましたように,腎不全においてしばしば蓚酸カルシウム結晶が腎組織内に見出されるのは良く知られた事実で,痛風腎においても蓚酸塩結晶の沈着が有り得るとの御意見に小生も同感です。
ただし腎生検をいつされたか日時の記載がないのが気になりました。1973年9月4日以降に人工透析が行なわれているようなので,透析開始以後の腎生検所見の報告と思われます。著者らが引用したWilliamsら(1933)が述べているように,人工透析で腎蓚酸塩沈着が軽減されるとの意見もありますが,primary oxa-losisについての研究では人工透析が無効とされ(Wallsら1969,Zarembskiら1969など),逆に血液透析では腎への修酸塩沈着が全例にみられるとの意見もあり(永田正博:日大医誌,30:936,1971),後者の意見をとれば報告の症例も人工透析が腎組織への蓚酸カルシウム沈着を促したとも解釈されます.
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