交見室
脂肪性髄膜瘤による尿失禁に対するStamey法について/経皮的腎尿管切石術60例の経験について
安田 耕作
1
,
稲田 文衛
2
1千葉大学泌尿器科学教室
2旭川医科大学泌尿器科学教室
pp.166-167
発行日 1986年2月20日
Published Date 1986/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204230
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神経因性膀胱の尿失禁に対して,尿閉を作り間欠自己導尿法で管理するという考えは,患者の社会生活活動度(ADL)を向上させるという点で今後試みられるべき方法の一つと思われる。
本来神経因性膀胱の尿路管理の第一目標は腎機能の保全であるが,尿失禁対策も重要である。女性では適当な集尿器がないため臨床医家は常に尿失禁対策に苦慮しているのが現状である。脂肪性髄膜瘤に伴う尿失禁に対し,われわれは薬物療法,排尿トレーニングおよび自己導尿法をうまく使い分けることにより対処している。臨泌39巻12号に加藤先生らが報告したような症例は,成人ではあいにく1例も経験していない。この点より考えると,加藤先生らの報告に若干の疑問点がでてくる。まず,薬物療法として無抑制収縮をおさえるためにpropanthelineを使用しているのみであるが,膀胱出口部の圧を高め排尿筋収縮を抑制する薬剤(imipramine,ephedrineなど)を使用してみたかどうか。次に,本症は先天性神経因性膀胱であり,患者は正常な排尿を知らないことから排尿トレーニングが効を奏するかもしれないので強力に施行する必要があると思われるが,これを施行したかどうか。これらを試みた上で手術に踏み切つたのか。
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