交見室
経尿道的超音波断層法による膀胱癌浸潤度判定について/前立腺癌に対する集団検診方式
西尾 正一
1
,
黛 卓爾
2
1大阪市立大学医学部泌尿器科
2群馬県立がんセンター東毛病院
pp.640-641
発行日 1984年7月20日
Published Date 1984/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203856
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本誌38巻5号に掲載されました打林忠雄先生らの論文「経尿道的超音波断層法による膀胱癌浸潤度判定の検討」興味深く拝読しました。
膀胱癌に対する適切な治療法の選択ならびにその予後を推測するにあたつて癌の浸潤度を術前に知る(診断)ことは極めて重要なことと考えます。これまで膀胱癌の浸潤度に関する画像診断法としては骨盤動脈撮影(PAG),CT,超音波断層法が行われておりますが,私たちの教室で過去に行つた膀胱癌症例の浸潤度診断の一致率を検査手技別にみますと,PAGではB2すなわちT3aまでの診断一致率は72.7%,C以上すなわちT3b以上の症例では84.6%となつており,PAGはhigh stageの診断にとつて有利な結果でした。次にCTの場合は,B2(T3a)以下の一致率は90%,C, D (T3b,4)の場合は88%で,両者ほぼ同じ程度の割合でした.最後に超音波断層法による場合は,Ta,1が100%,T2 66.7%,T3 66.7%と前二者の診断率に較べてやや劣つているわけでありました。しかし,臨床的に最も問題となるsuperficial tumor(T2以下)とdeep tumor (T3a以上)との鑑別はPAG, CTでは極めて困難であると考えています。
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