交見室
精巣上体管類似の管構造を呈する腎形成異常について,他
横山 正夫
1
1虎の門病院泌尿器科
pp.1032-1033
発行日 1983年11月20日
Published Date 1983/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203700
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私達は先に膀胱尿管逆流を伴う右形成不全腎の組織標本中に精巣上体管類似の管構造の集簇する1例を経験し報告いたしました(森山・他:臨泌,37;151-154,1983)。成書には腎形成異常には線毛円柱上皮からなる管構造が認められると確かに記載されていますが,実例の報告が少なかつたので,稀有なのか調べ方が悪いのかと部内で義論した記憶があります。今日,早速北大泌尿器科教室から5例という多数例の報告(後藤・他:臨泌,37;799-804,1983)に接し,私達の観察は例外でなかつたことを知りよろこんでいます。私達の例は尿管の異所開口がなく,左右とも精巣上体精管に触診上異常を認めませんので,それ以上のWolff管由来臓器の検索がしてありません。後藤論文では5例中1例のみが正常開口で,4例が異常開口尿管で,腎形成異常と開口異常が高率に合併することを示しています。精巣上体管構造の有無にかかわらず,一般に腎形成異常や腎欠損に精路異常が高率に合併することが知られていますので,これら先天異常に中腎管(mesonephric duct:Wolff管),尿管芽(ureteral bud)および造後腎組織(metanephrogenic blastema)などの発生異常が関与していると想定されます。
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