交見室
腰動脈塞栓術について/膀胱癌再発における尿細胞診と尿中FDP併用
加納 勝利
1
,
棚橋 豊子
2
1筑波大臨床医学系泌尿器科
2岡山市立市民病院泌尿器科
pp.944-945
発行日 1983年10月20日
Published Date 1983/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203681
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本誌37巻9号に掲載された小松秀樹先生らの論文「腰動脈塞栓術で著効をみた腎癌腰椎転移症例」を大変興味深く読ませていただきました。
腎癌に対する放射線療法,化学療法は根治性の期待ができない現状では,腎癌をみつけたら外科的に切除する以外に根治を期待できません。ところが,必ずしも切除可能な症例ばかりではありません。そこで,腎腎瘍が阻血に弱いという特徴を利用して,腎動脈塞栓術が最近では盛んに施行されるようになつた。しかし,これとて,再開通するために一過性の効果しかないことが判明し,抗癌剤を併用する動脈塞栓術や,マイクロカプセルを利用した化学的栓塞術が施行されるようになつた。こうした手法を,原発巣のみではなく,転移巣にまで応用した著者らの積極性を高く評価したい。特に,脊椎転移した症例に対する治療として,動脈塞栓術を応用するときに,脊髄栄養動脈内に塞栓物質が入る可能性があるために,アイデアとしては考えられても,実行に移すまでには到らなかつただけに,積極的な姿勢に対して敬服する次第です。しかも,動脈塞栓術のみでは長期の効果を得られなかつたというSooらの経験を生かして,MMC動注を併用し,この欠点を補つた点がすばらしいと思います。
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