小さな工夫
超音波ドップラ血流計の高位結紮術への応用
守殿 貞夫
1
,
羽間 稔
1
,
松本 修
1
1神戸大学医学部泌尿器科学教室
pp.943
発行日 1983年10月20日
Published Date 1983/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203680
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男性不妊と関わる精索静脈瘤に対する高位結紮術では,内鼠径輪の上方2〜3cmの部位にて内精静脈を結紮,切断するが,時に内精静脈と動脈との鑑別が極めて困難な症例を経験する。このような場合,副血行枝である外精動脈および精管動脈の血行が保たれているなら,内精動静脈が一括して結紮,切断される1)。この術式によつても内精静脈のみの結紮時と同様な治療効果が得られる。しかし,内精静脈を結紮すると下部尿管,鼠径管,睾丸あるいは陰嚢などへの手術操作は禁忌とされる。前述の副血行枝が損傷され,睾丸萎縮を来すからである。高位結紮術においては内精静脈のみの結紮が望まれる。そこで,本術中の内精動脈と静脈の鑑別に超音波ドップラ血流計(第1図)を応用し,有用であつたので報告する。
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