小さな工夫
陰茎全摘除施行時の外尿道口形成術の工夫
藤岡 知昭
1
,
石井 延久
1
,
金藤 博行
1
,
千葉 隆一
1
1福島労災病院泌尿器科
pp.740-741
発行日 1983年8月20日
Published Date 1983/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203639
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陰茎切断および陰茎全摘除術に合併する外尿道口狭窄は比較的高頻度に出現する1)。この問題は多くの場合ブジーによる拡張で対処可能であるが,患者にとつてはhospital freeとなりえず不快な合併症である。著者らは陰茎切断時の外尿道口形成術においてWhisnantらの腹側楔状皮膚弁の方法2)により好成績を得ているが,今回さらに陰茎全摘除施行時の会陰部外尿道口形成術に若干の工夫を加えたので紹介する。
外尿道口形成術施行上の問題点は尿道粘膜が海綿体に囲まれているために管口が狭く,その固定は不安定であり,さらにはその反転によるnipple形成が非常に難しいことなどである。よつて尿道の固定をより確実にするために豊田の尿管皮膚瘻の方法3)を,また尿道口拡大のためAbercombieの両側皮膚弁による外尿道口形成の方法4)を同時に施行することにより,確実な狭窄のこない外尿道口が形成できるものと考えた。まずX字状の皮膚切開をおき,左右一対の楔状皮膚弁を作製し,上下の皮膚弁は切除する。この部位より尿道を引き出し横割する。尿道口の3時と9時の粘膜と先の皮膚弁とを4-0デキソンにて縫合する。さらに余分の前後尿道各片に相当する皮膚真皮を剥離し,この部位に尿道を縫合固定し手術を終える。尿道口粘膜を抗生剤入りのステロイド軟膏で被い,F−16シリコーン尿道カテーテルを1週間留置する(第1図)。
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