文献抄録
進行性転移性睾丸癌
pp.1131
発行日 1982年12月20日
Published Date 1982/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203476
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生体の固形癌のうちで非精上皮腫性の胚腫性睾丸癌ほどその予後が劇的に改善された腫瘍はない。多くの研究施設の報告をみると,所定の化学療法と後腹膜リンパ節清掃を行うことで転移形成睾丸癌もその予後は95%以上になつている。著者は1972年から1979年の8年間に63例の非精上皮腫性の胚腫性癌を治療し,その予後を最も大きく左右する転移部位について検討報告している。この63例のうちB3はすべて腹部腫瘤形成を見るが,その他は肺野に大小の転移巣を確認された有転移症例である。著者の治療の原則は,まず抗癌剤の併用投与後に後腹膜の転移巣清掃を行い,術後に更に併用化学療法剤の投与を行つた。抗癌剤は1972年から1973年の間はactinomycin D,vincristin,methotrexate,cyclophos-phamideを用い,1974年から1976年の間はvinblastine,bleomycinを追加した。1977年からはEirhorn法と類似のPVB法によつた。そして転移巣組織が胎性癌か未熟奇形癌の時にはPVBコースの追加またはV-P 16,doxorubicin,platinumを追加投与した。63例の転移巣についてみると,B3で腹部に触可能の転移形成は16例,肺転移形成は47例で,2cm以下の小転移11例,2〜3.5cmの中転移16例,3.5cm以上または縦隔部転移は20例であつた。
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