文献抄録
睾丸腫瘍後腹膜転移巣の化学療法後の組織学的分析
pp.990
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203446
- 有料閲覧
- 文献概要
Samueles(1975)らは,抗癌剤の癌細胞分裂サイクルに対する効果を利用して,睾丸腫瘍転移巣に対してbleomycin,vinblastinの併用療法を行つて完全寛解が40%に見られたとし,同様好成績が報告されるようになつてから,化学療法後の転移巣摘出治療を行うステップになつたと著者は述べている。その後抗癌剤としてplatinumが導入されbleomycin,vinblastinの三者併用により70%の完全寛解を見たとの成績も報告され,残存転移巣に対して外科的治療は積極的に行われるようになつた。
著者らはnonseminomatousの腫瘍に対して上記三者併用の化学療法後転移巣を摘出し,51症例の経験について報告した。転移巣の検索は超音波とCTによつて行いリンパ節の完全清掃と転移組織の摘出を施行した。51症例についてリンパ節を含めて摘出転移巣の組織所見についてみると,16症例では壊死出血病巣など線維化巣のみが認められ,16例は奇型腫組織の残存があり,その他の19例では癌組織の残存が認められた。線維化組織のみの16例中1名はその後に肺に胎生癌組織の転移が出現して死亡したが,他の15例は健康である。奇型腫組織の16例では,うち4例に一部未熟奇型腫の組織があつた。
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.