小さな工夫
陰茎基部横切開によるFinney's prosthesis挿入手術
藤岡 知昭
1
,
石井 延久
1
,
千葉 隆一
1
,
常盤 峻士
2
,
白井 将文
3
,
岡本 重禮
4
1福島労災病院泌尿器科
2いわき泌尿器科腎センター
3東邦大学医学部泌尿器科学教室
4聖路加国際病院泌尿器科
pp.891
発行日 1982年9月20日
Published Date 1982/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203432
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Finney’s hinged prosthesisの挿入手術において,その尾部を直視下に陰茎脚および座骨結節に固定するという観点より会陰切開を用いている1)。しかし,この方法においては,1)砕石位をとる必要性,2)術後排便による創部汚染の可能性,3)術後頑固な会陰部痛などの欠点を有している。今回これらの問題の改善策として陰茎基部横切開によるprosthesis挿入手術を紹介する。陰茎基部より一横指上方の恥骨上にゆるい弧状の横切開を加えコーレス筋膜を露出する。浅深陰茎背静脈,一対の陰茎動脈および陰茎神経を損傷しないように陰茎背面中央部を避け,左右よりコーレスおよびバック筋膜を切開し陰茎白膜に到達する(第1,2図)。扇状に走行する静脈を避け白膜に横切開を加える。この切開口部より海綿体先端および座骨結節付着部に向かいヘガール頸管拡張器を挿入し切開口よりの長さを正確に測定するとともにprosthesis挿入のスペースを作る。その値を基に先に決めておいたprosthesisの尾部を切断し適当な長さとする。初めに挿入する側のrodは測定値より長めとし,反対側のrodを挿入後,最終的な全長を決定する。白膜切開口を3-0デキソンにし連続縫合,バックおよびコーレス筋膜をかるく合わせた後,皮膚縫合し手術を終わる。止血は電気凝固のみとし,ドレインは使用しない。
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