文献抄録
腎結石と副甲状腺機能充進症治療の予後
pp.409
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203342
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副甲状腺機能充進症と腎結石の関連については1934年に指摘されたが副甲状腺摘除後の腎結石再発に関しては,McGeownらは良好な成績を発表しているが,Johansonらは摘出副甲状腺の組織所見と再発頻度との関係が深いことを報告している。著者らは1969年から1979年の間に448名の原発性副甲状腺機能充進症の外科的治療を行つたが,これらのうち226名は高カルシウム血症はあつたが結石の既往歴はなく,184名は結石の病歴を持つていた。この184名について見ると30名は腎石の再発を見ているが,血中Ca値(9〜11mg/100ml)と正常であり,154名は高Ca血症(>11mg/100ml)と腎石の病歴を有しており,うち72名(16%)は代謝亢進性の結石症例で既往に2回以上の結石排出あるいは手術をうけた患者であつた。著者らはこの72例について副甲状腺摘除の予後を検討した。副甲状腺は生検あるいは1〜4腺を摘出し,その病理組織検索も行い,48例が腺腫で(67%),18例が過形成(25%),6例が正常(8%)であつた。腺腫の48例中6例は経過観察はできなかつたが,残りの42例は結石の再発を見ていない。過形成の18例中結石再発を見ない者は6例,5例に再発を認めている。正常の組織であつた6例中2例は6〜11年経過で再発はないが,3例に結石形成が認められたので,予後は半々の成績であつた。
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