Japanese
English
綜説
抗癌剤の副作用とその対策
Toxicity of Anticancer Agent and the Supportive Therapy
小川 一誠
1
,
宮本 宏明
1
Makoto Ogawa
1
,
Hiroaki Miyamoto
1
1癌研癌化学療法センター臨床部
1Division of Clinical Chemotherapy, Cancer Chemotherapy Center, Japanese Foundation for Cancer Reserch
pp.401-409
発行日 1982年5月20日
Published Date 1982/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203341
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はじめに
現存の抗癌剤は癌細胞のみを選択的に破壊する作用をもたない。すなわち多くの抗癌剤の主たる作用機序はDNA合成阻害であり,よつて無差別に癌細胞,正常細胞を攻撃する。たとえば細胞回転1)の立場より考えてみると,正常の骨髄で生産される幼若細胞の世代時間は多く1〜2日であり,これに対して白血病細胞は2〜3日である。そしてこれに比例してDNA合成期にある細胞の比率は正常細胞の方がより多い。すなわち理論的には正常骨髄細胞の方がより高度の損傷をうける。このように抗癌剤に伴う血液毒性はいわば不可避の毒性である。したがつて抗癌剤を使用するときは毒性がどのように,どの時期に,どの程度出現するかを予測し,これに対する治療手段を十分に計画し,かつその毒性を克服できる自信がないならば抗癌剤を投与すべきでない。無計画に投与すれば毒性による死を招くこととなる。本稿では抗癌剤の毒性(副作用),またそれに影響する背景因子,その治療手段を簡略に記述したい。
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