診断のポイント
尿路結石と副甲状腺
藤田 拓男
1
1東大・老人科
pp.692-694
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200816
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尿路結石と生体代謝異常
尿路結石は入類とともに古い疾患であつて,BC 5,000年と推定されているエジプトのミイラにすでに発見され化学的に分析されている。Hippocratesは尿路結石の外科的治療は専門医にまかすべきことを警告している。このことは現在も変わらぬ真理であるが,疾患の病態生理について深く考察するとともに,広く人体の全般の立場から正しい診断をくだすことを使命とする内科医にとって,尿路結石は,生体の代謝異常の重要な一つの断面として,容易に看過することのできない現象であると思われるのである。
尿路結石の85〜90%はカルシウムを含むといわれ,燐酸,炭酸,尿酸,修酸,チスチン,キサンチンなどとともに結石の主成分を構成するが,尿路結石の成立には尿中カルシウム排泄の増加のほかに,尿の種々の性状ことにpHの変化などいろいろの条件が必要なことは当然予測されるところであるが,臨床的な経験においては,原因の不明ないわゆる特発性結石がかなりの割合を占める実情である。Reddyらの238例の尿路結石症についての研究によると,85%は原因が不明であつて,11%が閉塞性腎疾患,7%が系統的疾患によるものであるという。
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